気候変動への対応

Responding to Climate Change

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気候変動に対する認識

産業革命以降のエネルギー消費量の拡大により、大気中の二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの濃度が上昇することで、地球の温暖化が進行しています。また、風雨の激甚化、熱波や干ばつ、海面上昇などの気象関連の災害が、環境・社会・経済および企業活動に深刻な影響を及ぼしつつあり、気候変動への対策が世界的に重要な課題とされております。2015年の気候関連変動枠組条約締約国会議(COP)では、世界の平均気温上昇を、産業革命前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることを目標とする「パリ協定」が採択されました。
本投資法人と本資産運用会社では、気候変動が本投資法人の資産運用及び本資産運用会社の事業活動に対して中長期的に大きな影響を与える重要な課題と認識しております。本投資法人は、本資産運用会社と共に気候変動によるリスクに適切に対応しつつ、機会の追求に積極的に取り組んでまいります。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同

本資産運用会社は、2021年9月にTCFDの提言に賛同するとともに国内賛同企業による組織であるTCFDコンソーシアムにも入会しました。

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本資産運用会社では、TCFDが推奨する開示項目に基づき気候変動が事業にもたらす影響を分析・評価し、適切な対策を講じるとともに積極的な情報開示を推進していきます。

TCFDが推奨する開示項目

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開示項目 開示内容
ガバナンス 気候関連リスク及び機会に関する当該組織のガバナンス
戦略 組織の事業・戦略・財務計画に対して気候関連リスク及び機会が与える実際の影響及び潜在的な影響
リスク管理 気候関連リスクを組織が識別・評価・管理するプロセス
指標と目標 気候関連リスク及び機会を評価・管理するための指標と目標

ガバナンス及びリスク管理

本資産運用会社の気候変動への対応も含むサステナビリティ推進のための社内体制は、サステナビリティ推進のための社内体制をご参照下さい。
気候変動に関するリスクと機会、指標と目標等については、原則年1回事務局にてモニタリングを実施し、本資産運用会社の代表取締役社長を含む投資委員会において審議・評価されていると同時に当該進捗状況は本投資法人の役員会に報告されています。また、全社のリスク管理にも統合が図られています。

戦略

今回のシナリオ分析にあたり、以下のシナリオを参照しています。

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シナリオ 1.5℃/2℃シナリオ 4℃シナリオ
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(世界観)
気候変動対策のため脱炭素社会化が進む。環境関連の各種法規制への対応や環境性能の高い不動産が求められる。 気候変動のための対策が十分に進まないままに自然災害が益々激甚化し、社会全体で防災対策の強化が必要となる。
参照資料 IPCC第5次報告書 RCP2.6
IEA World Energy Outlook2020 NZE2050
IPCC第5次報告書 RCP8.5
IEA World Energy Outlook2020 SPS
  • ※ IEA:国際エネルギー機関 ※IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル

シナリオ分析に基づく財務的影響度の検証

本投資法人及び本資産運用会社は、前述した1.5℃/2℃、4℃のシナリオごとに、識別したリスクと機会の財務的影響度の定性的な大きさを以下のとおり検証しました。

  • ※「中期」は2030年、「長期」は2050年を展望しています。

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分類 不動産運用における
リスク・機会の要因
財務への影響 区分 時間軸 影響度 リスクに対する戦略
1.5℃/2℃ 4℃
移行リスクと機会
政策と法 炭素税導入による GHG(※1) 排出コストの上昇
  • 炭素税の導入による運用コストの増加や、排出枠達成のための低炭素化の対応コストの増加
リスク 中期 長期
  • GHG排出原単位の削減目標を設定、達成状況を開示
  • 物件の省エネルギー改修の検討
  • 再生可能エネルギーの調達
  • ZEH(※2)物件の取得や既存物件のレトロフィットの検討
  • 三井不動産グループ間でのノウハウを共有
  • 炭素税引き上げによる既存の電力価格の高騰
環境基準の厳格化
  • 建物本体や設備に関する調達や改修コストの増加
リスク 中期 長期
技術 再生可能エネルギー・省エネルギー技術の進化・普及
  • 技術革新による製品の普及に伴う、建物仕様に関する要求水準の変化に対応するためのコストの増加
リスク 長期
  • 新技術、新サービスの情報収集と対応方針の検討
  • 三井不動産グループ間でのノウハウを共有
  • LED照明、高効率な空調設備等の設置や再生可能エネルギー設備の導入による環境負荷の低減やエネルギーコストの減少
機会 中期
  • GHG排出量の削減目標の設定と進捗状況の開示
  • 再生可能エネルギー発電施設の導入の検討
  • 計画的な省エネルギー改修の検討・推進
  • 三井不動産グループ間でのノウハウ共有
市場 不動産売買市場への影響
  • 環境性能が低い物件の価値の低下(座礁資産化)
リスク 短期
  • 不動産評価の動向の情報収集に努め、環境性能の向上を図るもしくは譲渡の対象とする
  • GHG排出原単位の削減目標を設定、達成状況を開示
  • 物件の省エネルギー改修の検討
  • 再生可能エネルギーの調達
資金調達市場への影響
  • 気候変動への対応が不十分と見なされることによる調達条件の悪化
リスク 短期
  • 気候関連財務情報開示の充実
  • 継続的なグリーンファイナンスの実行
  • 環境認証(グリーンビル認証等)の取得の推進
  • 気候変動への対応を積極的に行うことによる調達条件の改善
機会 中期
賃貸住宅市場への影響
  • 環境性能が低い物件が敬遠され、需要が減少
リスク 中期
  • テナント満足度調査等によるニーズの把握
  • 省エネルギー改修の検討
  • 環境認証(グリーンビル認証等)の取得の推進
  • 環境性能が高い物件の競争力の向上
機会 中期
運用コストへの影響
  • エネルギー価格高騰によるランニングコストの増加
  • エネルギーミックスの変化による再生可能エネルギーコストの増加
リスク 中期
  • 再生可能エネルギー(グリーン電力証書等)の購入
評判 金融資本市場におけるブランド価値の低下
  • 気候変動への対応に消極的とみなされることによる投資口価格の低下
リスク 中期 長期
  • 脱炭素社会に向けた積極的な取り組みを推進し、気候変動への堅実な対応によりブランドイメージを維持する
物理的リスク・機会
急性 集中豪雨や近傍河川の決壊等による浸水、内水氾濫
  • 稼働率低下による賃料収入の減少
  • 浸水対策コストの増加
リスク 短期 中期
  • 物理的リスクを把握し高リスク物件を特定、予防措置をとるもしくは譲渡の対象とする
  • 新規取得時に物理的リスク情報を評価に反映する
台風による物件への被害
  • 修繕費・保険料の増加
リスク 中期
慢性 海面上昇による海抜の低い物件などが浸水
  • 高潮被害への対策コストの増加
リスク 中期 長期
猛暑日や極寒日など極端現象の増加により高潮被害が上昇
  • 空調設備の維持・運用コストの増加
リスク 中期 長期
  • 空調設備の維持・運用コストの管理
  • (※1)「GHG」とは、温室効果ガスのことをいいます。
  • (※2)「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称です。

指標と目標

環境パフォーマンス目標

指標と目標については、環境パフォーマンス目標・環境パフォーマンス実績をご参照ください。